◆ 老化のサイン=老化と勘違い?ホルモン失調が死を早めてる

甲状腺は喉の両側にある、「新陳代謝を促進するホルモン」を分泌する内分泌器官の1つです。
甲状腺は小さくて柔らかいので外から見ても触れても良くわかりません。
甲状腺ホルモンが不足すると、人の新生児では脳の発育や成長が遅くなりますし、オタマジャクシはカエルになれません。
甲状腺ホルモンが全く分泌されないと、1ヶ月ぐらいしか生きられないと言われています。
このように甲状腺ホルモンは、発育や成長に欠かすことができないホルモンなのです。

甲状腺ホルモンは新陳代謝に関係がありますから、ホルモンの分泌が悪いと当然ながら新陳代謝は悪くなります。
健康なシニア犬は若いときと比べ、新陳代謝が低下しています。
そんなシニア犬に甲状腺機能低下症が起こると、さらに新陳代謝が悪くなります。

うちの犬、呆けちゃったのかしら、食べては寝るの繰り返しの毎日で、いつも全くやる気がなくボ〜っとしているのよ
なんてシニア犬の飼い主さんの、ぼやくきを聞くことがあります。
そんな話を聞くと「本当に老化なのかな?」と毎回思うのです。

と言うのも、甲状腺機能低下の症状は…運動量の低下、頭脳の衰え、体毛が薄くなり毛が伸びるのが遅い、寒がるなどのです。
まるで普通の老化現象とそっくりなのです。
他の症状としては、心機能の低下、代謝機能の低下、肥満、元気消沈、睡眠時間増加、寒がる、皮膚は厚く冷たく腫れたようになり徐々に毛が抜ける、尾がラットの尾みたいになり、だんだん全身に両側性、対称性脱毛となる、傷が治りにくい等です。

甲状腺機能低下症と診断されたら、甲状腺ホルモン剤を飲ませなくてはなりません。
甲状腺ホルモン治療を受け始めたシニア犬の飼い主さんは、皆が「活発に動くようになり、散歩も大喜びになった!」「あれほど生えなかった毛が、生えてきた!」などと我愛犬の変身ぶりに驚かれます。
しかし実際には変身したのでは無く、あるべき本来の姿に戻っただけなのです。

甲状腺機能低下症は治らない病気とされています。
そのため甲状腺ホルモン剤を終生飲み続けなくてはならなりません。
一生涯と言うと気が重くなる飼い主さんもいらっしゃいますが、愛犬の笑顔と元気な姿を見てしまうと、そんな気分も晴れてしまうことでしょう!